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2023.10.11
オアログ

義歯の保管方法


入れ歯(義歯)は水中保存と乾燥保存、どちらが適している?

オアシスのブログをご覧の皆様、こんにちは。歯科衛生士主任の並木です。今日は入れ歯(義歯)の保管方法についての研究のお話です。どうぞ最後までお付き合いくださいね!

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入れ歯(義歯)の適切な管理方法は、その使用者の健康と品質を維持するために極めて重要です。日本の総義歯装着患者の約76.4%が睡眠時に義歯を外しているとの報告があります。では、このように外している場合、どのように義歯を保管すべきなのでしょうか?

誤嚥性肺炎は日本人高齢者の主要な死因であり、義歯を清潔に保つことがとても重要です。これを考えると、細菌やカビの繁殖が抑えられる乾燥環境での保管が推奨されます。しかし、義歯を乾燥させると変形やひび割れの原因となるとされているため、日常的には湿箱や水中で保管する指示が多くあります。

近年の研究では、上顎総義歯を装着している患者10人を対象に、義歯の保管方法とその影響について調査が行われました。
義歯を就寝時に室温乾燥状態で保管する方法と、水中(清掃剤タブレット含有)で保管する方法を比較し、以下の結果が得られました。

寸法変化:全ての部位で、乾燥保管の方が水中保管よりも寸法変化が少なかった。
維持力:乾燥保管と水中保管のどちらでも、統計的な差は認められませんでした。
患者満足度:義歯の適合性、快適さ、維持についての患者の満足度はどちらの保管方法でも高かった。

この結果から、義歯の乾燥保存と水中保存を比較した際に、寸法変化や維持力に臨床的な影響を及ぼすほどの差は認められなかったと言えます。乾燥保管は義歯の変形を引き起こす可能性があるとの懸念から、しばしば推奨されません。しかしながら、この研究の結果からは、乾燥保管が義歯の変形のリスクを高めるとは言えないことが示され、むしろ水中保管よりも寸法変化が少ないことが示唆されました。また、口腔衛生の観点からも、今後は乾燥環境での保管が推奨される可能性があります。

ただし、この研究は単回の介入における影響を検証したものであり、長期間の使用とその効果については検証していません。義歯の日常的な使用と保管方法が、長期間にわたって義歯にどのような影響を及ぼすか、という視点からのさらなる研究が待たれます。

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