この2月、オアシスには他院で経験を積んだ歯科衛生士の春日さんが加入してくれました。とても前向きで勉強熱心な方で、オアシスのやり方を覚え、即戦力として活躍してくれています。
また、4月にもフレッシュな新卒の歯科衛生士『楓ちゃん(栁沢が2人になったので「楓ちゃん」と呼んでいます)』を迎えました。指導係の並木主任の下で、目下勉強中ですがとても目線の高い衛生士です。すぐに患者さんのケアに入るようになるでしょう。
これでスタッフ数が開業から初の10人になりました。
今日は私が若いころに学んだ仕事観について書いてみたいと思います。
これはもう20年以上前、千葉県で勤務医をしていた頃の話です。
当時お世話になっていた院長が、「クマ先生、仕事ができる人ってどんな人かわかるかい？」
と言ってきました。
「自らの治療技術の向上に熱心で、患者様に上手に説明できる人ですかね。」私が答えると、
「それもそうだね。確かに我々歯科医師は常に新しい技術や材料を勉強しなければいけないし、それを患者様に解りやすく伝えられなければいけないよね。でもそれはほんの一部分に過ぎないんだよ」
そして院長が経験した話を教えてくれました。
「昔ね、理科大(東京理科大学)に留学してきた中国人のY君って子をアルバイトで雇ったことがあったんだ。まだ日本に来て日も浅かったから、日本語がそれほど上手じゃなかった。どんな子なのかも解らなかったから、初日に家の周りの草取りをやってもらったんだ。」
「なるほど」
「そしたらね、その草取りした跡が今まで見たことが無いくらい綺麗で完ぺきだったんだ。それまで何人も日本の学生アルバイトを雇って草取りみたいな雑用をお願いすることもあったんだけどね、Y君は明らかにレベルが違った。そう思わせるような草取りだったんだ。『あぁ、失敗した。こんな子に草取りなんかさせたらもったいない。』と思い直して、すぐに経理の仕事を手伝ってもらったよ。案の定、やはり完ぺきにこなしてくれたね。」
どんなにつまらないと思えるような事でも、どれだけ真剣に向き合うか。一見くだらない雑用のような仕事に対して、自分自身がどんな姿勢で臨むのか。自分が出した結果はどうあるべきなのか。
そうした姿勢で全ての物事に取り組む事で、人は成長し続けます。これは仕事に限った事ではないでしょう。「ラクして簡単」「時短」が何かと持てはやされますが、本当に価値あるものがそこから得られるでしょうか？
人を感動されるのは、そこに至るまで積み上げた時間だったり、細部までこだわり抜いた仕事であるはずです。そして、そうあって欲しい。ワタシは古い人間なのかもしれません。
最近では若いスタッフ達が始業時間の1時間も前にオアシスに来て、テック(治療用の仮歯)を作る練習をしています。当然そこに給料は発生しません。でもこれを数年でも続けることが出来たならば、彼女たちは業界でも稀に見るトップクラスの衛生士になっていることでしょう。そこまで努力できる衛生士は滅多にいません。
「ただの草取りでも人を感動させることができる。」
これは若かった私の大きな学びとなりました。
